教員経験を活かして、子どもと向き合う。フィーカの支援と働き方

前回は、私が高校教師を辞めて、なぜフィーカをつくったのかを書きました。

その中で書いたのが、

「もっと早く、この子に関われていたら」

「子どものために頑張る人が、すり減っていく場所にはしたくない」

という二つのことです。

今回は、その二つをフィーカで実際にどう形にしているのか。

子どもたちとどう向き合っているのか。そして、そこで働く人が無理なく続けられるために、どんなことをしているのかを書いてみようと思います。

一人でできることを、一つ増やす

スタッフにずっと伝えていることがあります。

この子たちが社会に出たとき、一人でできることを一つ増やすために、今なにをすべきか。

フィーカの支援で一番大事にしていることです。

できたことは、ちゃんと褒める。

うまくできなかったときには、どうすればできるのかを一緒に考える。

ときには、いけないことはいけないと伝える。

一人ひとりの気持ちを大切にしながら、その子に合った方法で関わっていく。

すぐに変わるわけではありません。

でも、できることが一つ増えて、また一つ増えていく。

その積み重ねが、その子が社会に出たときの力になると思っています。

教室のおもちゃ棚。一人ひとりに合わせて使うものを選んでいます
教室のおもちゃ棚。一人ひとりに合わせて使うものを選んでいます

前回書いた「もっと早く関われていたら」という思いが、そのまま今の支援につながっています。

「楽しかった」で終わらない時間にしたい

もちろん、フィーカが子どもたちにとって楽しく、安心して過ごせる場所であることは大切です。

でも、それだけではなく、

「今日、これができるようになった」

というものを一つでも持って帰ってほしいと思っています。

そのためには、褒めることもあれば、できなかったことにもう一度挑戦することもあります。

ときには、やってはいけないことをきちんと伝えることもあります。

大切なのは、「叱るか、叱らないか」ではなく、その子にとって何が必要なのかを考えることだと思っています。

目の前で機嫌よく過ごしてもらうことだけを考えるのではなく、数年後、その子が少しでも自分でできることを増やせるようにする。

そこから逆算して、今の支援を考えています。

誰かに助けてもらえることも、大切な力

もう一つ、スタッフによく話していることがあります。

すべてのことを、一人でできるようになる必要はありません。

どうしても誰かの力を借りなければならないこともあります。

だからこそ、

「ありがとう」が言える。

困ったときに「助けて」と言える。

何かしてしまったときに「ごめんなさい」と言える。

そうやって、人と関係をつくっていくことも、その子が社会で暮らしていくための大切な力だと思っています。

以前はスタッフに「愛嬌のある子に育てたい」という言い方をしていました。

もちろん、いつも笑顔でいなさいという意味ではありません。

一人でできないことがあったときに、周りの人と関係をつくりながら、必要な助けを受けられる人になってほしい。

そういう意味で使っています。

一人でできることを増やすこと。

そして、一人ではできないことがあったときに、誰かに頼れること。

どちらも大切だと思っています。

子どもと向き合える働き方にする

ここからは、働き方の話です。

フィーカをつくるとき、最初から決めていたことがあります。

土日祝は休みにする。

持ち帰り仕事はつくらない。

残業もできるだけ少なくする。

現在、月の平均残業時間は15時間以内におさまっています。

もちろん、単純に休みを増やせばいいと思って決めたわけではありません。

前回の記事にも書いたように、教員時代の私は、子どもと向き合う時間を取ろうとすると、その分、授業準備や事務仕事が時間外に押し出されるという働き方をしていました。

フィーカでは、同じことを繰り返したくありませんでした。

現場のスタッフには、支援に集中してほしい

残業や持ち帰り仕事を減らすために、大きく二つのことをしています。

一つは、人員にある程度の余裕を持たせることです。

ぎりぎりの人数で運営すると、誰か一人が休んだだけで、残った人に負荷がかかります。

だから、必要な人員を確保するための採用には時間をかけています。

もう一つは、保護者対応などの管理業務を、できるだけ私の側で持つことです。

学校で働いていたころは、子どもと関わる仕事も、それ以外の仕事も、現場の先生が抱えていました。

フィーカでは、現場のスタッフにはできるだけ支援に集中してほしい。

子どもを見ること。

その日の様子を考えること。

どういう関わり方がその子に合っているのかを考えること。

そこに時間を使えるようにしたいと思っています。

開所の日の教室
開所の日の教室

働く人の余裕は、子どもたちに返っていく

なぜ、そこまで働き方を気にするのか。

働く人のためでもありますが、それだけではありません。

療育の仕事は、子どもの小さな変化に気づけるかどうかで、支援の質が変わると思っています。

今日はいつもより少し落ち着かないな。
前はできなかったことが、今日はできたな。
この伝え方だと、すんなり入ったな。

毎日一緒にいるからこそ見える、小さな変化があります。

でも、働く側に余裕がなければ、そこまで目が届きません。

目の前の一日を回すだけで精一杯になってしまいます。

だから、仕事が終わったら、できるだけ仕事のことは考えないでほしい。

自分の時間を過ごして、また次の日に子どもたちと向き合う。

その方が、結果としていい支援につながると思っています。

求人票の条件だけでは伝わらないこと

フィーカの求人票には、

「年間休日125日以上」
「土日祝休み」
「10時出勤」
「持ち帰り仕事なし」

といった条件が並んでいます。

でも、本当に伝えたいのは数字そのものではありません。

なぜ、そういう働き方にしているのかということです。

子どもと向き合う人が、無理なく働き続けられること。

そして、働く人に余裕があるからこそ、一人ひとりの子どもの小さな変化に気づけること。

私にとって、この二つは別の話ではありません。

「働きやすさ」と「支援の質」は、つながっていると思っています。

前回の記事で書いた、

「もっと早く、この子に関われていたら」

「子どものために頑張る人が、すり減っていく場所にはしたくない」

という二つの思いを、今のフィーカではこういう形にしています。

教員として働くなかで、

もっと一人ひとりの子どもと向き合いたい。

でも、自分自身の生活も大切にしたい。

そう感じている方にとって、フィーカが一つの選択肢になればと思っています。

もし少し気になったら、まずは教室を見に来てもらえたらと思います。

実際に子どもたちとスタッフがどう過ごしているのかを見てもらうのが、一番分かりやすいと思います。

次の記事では、実際にフィーカで働いているスタッフに話を聞いてみようと思います。

教員からフィーカに転職したスタッフにも、学校で働いていたころと何が変わったのか、実際に働いてみてどう感じているのかを、本人の言葉で話してもらいます。

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